クリンチェック強化コース第3回目開催しました
ついに3回目、今回のプログラムでは最後の回となります。
第1回目では「1級」の症例を、第2回目では「2級・3級」の症例を元に、予測実現性の高いクリンチェックの作成方法についてお伝えしてきました。
今回は「抜歯」が必要な症例について勉強していきたいと思います。
経験の少ない先生にとって抜歯症例はハードルが高くインビザラインでの治療を躊躇される方もいらっしゃるかもしれませんが、「適切に診断を行い、注意深く治療をすすめればできる」ととらえられます。
実際にさまざまな抜歯症例を経験してきた中でスムーズに治療を終えることも思った以上に多いですし、簡単な治療であるとは言えませんが、全く無理な治療というわけでもありません。ただ、予測実現性の点では非抜歯の方が高いことが明らかです。
抜歯は、よく診断した上でどうしても必要な場合に、よく患者さんにも治療方針について納得してもらってから進めていくべきだと考えます。
インビザラインを進めるにおいて、クリンチェックを複数作成し、患者さんにどういう治療をすれば、どういう仕上がりになるのか、を説明できるのは強みです。まず非抜歯での治療計画を作成し、難しければコメントを出して抜歯のクリンチェックを作成し、患者さんによく説明して納得してもらう。
抜歯が必要な症例ではどの歯をどのタイミングで抜歯するのかをきちんと検討しなければなりません。咬合関係はもちろん処置歯、ディスクレパンシーの程度、顔貌プロファイルなど総合的に考慮して決定するべきです。
また小臼歯部を抜歯する場合はクリンチェック、アライナー作成前に抜歯してはいけません。当たり前ですがアライナー装着まで放置をしてしまうと歯が傾斜してしまいアライナーが上手くはまらなくなる等の不具合が生じます。必ずクリンチェックで歯の移動ステージを確認しましょう。
抜歯が必要な症例の中で、叢生が多い場合は、比較的易しいケースと言えます。というのも、前歯のリトラクション移動距離が少なくて済むことや、アライナーがしっかり歯をグリップし上手く力がかかるケースが多いことが要因と思われます。逆に、叢生が少なくなればなるほど難しくなる傾向があります。
クリンチェックの作成時に気を付けるべきことですが、アーチの形態は極端に拡大せず元の歯列に相似形となるように形作ります。大臼歯の近心移動量を少なめに調整し近心傾斜リスクを軽減させましょう
アタッチメントは抜歯した歯の隣接歯には必ず設置します。叢生が多い場合は最適アタッチメントも有効ですが、歯の大きさや形によってアタッチメントの種類も検討した方が良いでしょう。
そして歯を動かす順(ステージング)についてもよく検討しましょう。デフォルトの同時に3~3番をリトラクションする動きがリスクとなる場合は、ステージを分けたり,(Frog Typeなど)上下顎の咬合干渉に注意しながらステージングを組み待てましょう
治療を進めている最中も、どのステージでどの歯が動いているか、注視していきましょう。よく見ることで、少し治療計画と違ってきてもすぐにリカバリーが出来ます。臼歯の近心傾斜が場合や、前歯部がディープバイト・臼歯部がオープンバイトに途中なってきてしまった場合、適切に追加アライナーやリカバリー処置の判断をしていくことが大切です。
リカバリーの可能性について事前にワイヤーや顎間ゴムを使用や、追加アライナーの使用判断があることは患者さんに伝えておきましょう。くわえてコンプライアンスの重要性は治療成功において最重要な要素となることも強調しておきます。
いかがでしたでしょうか。今回は症例別のクリンチェックの作り方を勉強してきました。
ドクターも患者さんも、お互いにとって納得のいく治療となるように、明瞭な計画を立て、実行していけるよう、これからもお手伝い出来ればと思います。どうぞお役立てください。
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